福島第一原子力発電所は、ベントが遅れたことで水素が漏れて爆発した、ということになっています。実際の現象は当事者ではないのでわかりませんが、そういう事になっています。
当時、水素爆発(といわれているもの)が起こる前の原発に、首相であった菅直人が視察に行き、現場で怒鳴り散らし、作業を遅らせたから水素爆発が起きたのだという批判が、ネットのあらゆるところで今だに行われています。
しかし、以下の動画を見ると明らかに時系列がおかしいですね。
事実を時系列でまとめます。福島第一原子力発電所事故の経緯 - Wikipedia
- 地震発生
- 地震発生から4時間後にはメルトダウンが発生していた(当日はまだ水があると報告されていたが誤り)。当初メルトダウンに気づけなかったのは、水位計が壊れたから
- 現地に対策本部を設置するのが筋だったが、現地は機能させることができなかったので、官邸の原子力災害対策本部で意思決定を行うことに
- 東電側で、1号機の格納容器圧力の異常な上昇を確認
- 3月12日の00:00頃、対策本部に来た東電社員(フェロー?)は、ベントをやりたい、とすでに管に伝えている
- 3月12日の02:00頃には圧力容器からメルトスルー
- ベントする旨を伝えた後から何時間経ってもベントが行われなかった
- 管が東電技術者に問い詰めるも、答えは「よくわからない」
- 東電側からベントについて何も情報が上がってこないため、避難決定を行う管本人による視察を決定
- 3月12日の朝1Fに管が向かい、45分間吉田から説明を受ける
- 3月12日の15:36、1号機建屋が水素爆発(といわれている)
この時系列と、その他の情報からわかることは以下。
- そもそも地震後に水位計が壊れている
- 東電は圧力容器水位の正確な把握すらできていなかった
- 東電は格納容器圧力の上昇と水位計の故障から、メルトダウンを即座に疑っていたと見られる
- 管が45分間、吉田に説明を受けたからと言って、ベントの作業自体が遅れる根拠には全くならない。なぜなら作業自体は吉田が行っているわけではないから
- 津波で周囲が荒れていたかもしれないが、電源を運べなかったわけではない。電源の不一致等の混乱はあったとか
どうでしょうか。
当時東電は、メルトダウンしたんじゃないのかという問いに対して、頑なにそれはないと答えていました。
おそらく、マスコミに対する広報の態度から、官邸にも同じ様に情報を隠していたものと思われます。そうでないと、菅直人の発言と辻褄が合わなくなるからです。
私は菅直人が嫌いです。消費増税路線も踏襲しましたし、北朝鮮団体絡みで色々疑惑もありますし。
しかし、福一の水素爆発に関しては、管の視察が原因だなどとは決して言えるものではないと思いますね。
原発の電源位置も含めた設計も非常に脆いです。地震後に水位計が動かなくなるぐらいですからね。
こんな状況で他の原発の運用や稼働を信用しろとか言われても無理ですよね。